不登校ひきこもりでの学習支援とは学校以外での「学びの場、居場所」のことです。いくつか紹介したいと思います。

 

フリースクール

不登校の子どものために「安心して過ごせる場所・勉強もできる場所」を提供するのがフリースクールです。子どもの自主性を重視しながらスタッフと対話し、活動内容を決めていくスタイルが一般的です。

ただ学校と異なる学習施設のことをフリースクールと称するので、その内容は極めて多様です。例えば学校のようにカリキュラムを定めて勉強を教えていく場合もあります。主催者の考え方が反映されやすいです。

 

規模も10人前後の利用者が民家やマンションの一室で活動していることもあれば、100人を超える在籍者を持つこともあります。学習塾が不登校の子どもを受け入れてフリースクールと称している場合もあります。

 

フリースクールは認可された学校ではありません。大学・専門学校への進学・就職・資格取得の条件にある卒業資格を満たすためには高卒認定を取得する必要があります。フリースクールにおける高卒認定への学習支援については後述のサポート校をご参照ください。

サポート校

後述しますが、通信制も高卒認定を目指すことも1人では難しいことです。進学を目指しているのでしたら尚更です。通信制に通学中の生徒、もしくは高卒認定を目指している人に対して学習のサポートを行うことを目的としているのがサポート校です。

 

サポート校は学校ではありません。フリースクール、学習塾、専門学校など民間団体が設置していることが多いです。稀に学校法人が設置している場合も例外的にあります。

多様な形態があり、個人授業もあれば集団での授業もありますし、一見して普通の学校と見分けがつかないようなサポート校もあります。基本的には運営している団体の特性が反映されます。以下をご覧ください。

フリースクール運営のサポート校

「安心して過ごせる場所・勉強もできる場所」という考え方が基本にあります。心理的に配慮しつつ、あくまで当人のペースに合わせて勉強を教えることが多いようです。

ただ「子どもへの心理的配慮に優れている人」と「勉強を教えるのが得意な人」がイコールでないことは覚えておいてください。

学習塾運営のサポート校

受験のノウハウの蓄積があるため大学などへの進学を目指している場合は適しています。通信制・サポート校・学習塾を同じ団体が実施していることも珍しくありません。進学を目指しているのでしたらお勧めします。

ただし「進学」という目的が前面に出やすいので「ゆっくりと勉強したい」という人には不向きかもしれません。

専門学校運営のサポート校

学習塾と同様に教える技術に関して一定の基準をクリアしていると思います。本業で教えていることが反映されやすいですから、専門学校へそのまま進学して就職という流れを考えているのであればお勧めでします。

ですが学校の方も「そのまま進学してくれたなら」と思っていますので、他の道を考えているのであれば再考の必要があります。すでにお世話になっている場合も明確に意思表示した方が良いでしょう。

 

要注意!経済的負担と悪質な支援

サポート校の大前提として経済的余力があることです。前述の通りサポート校は民間団体が設置していることが多いです。学校法人であっても私立学校でしょう。「教育にはお金がかかる」と言いますが、まさにその通りです。学校にもよるでしょうが一定額は覚悟してください。

多くのケースで通信制とサポート校のダブルスクール状態になっています。これも経済的負担が多くなっている理由の一つです。

 

残念なことに悪質なサポート校もあります。十分なサポートをしてくれない。進学や学習のノウハウがない。設備が貧弱。そして多額の学費です。詐欺に近いケースも存在します。

フリースクールにも言えることですが、民間団体ゆえに自由な教育を与えることができる反面、一定レベルの基準に達してなくても支援を名乗ることができます。注意が必要です。

そこで家族会で情報収集することを強くお勧めします。家族会の参加者、特に不登校当事者の家族の方はこの手の情報に詳しいです。利用者の声や噂を参考にして「ここならいい!」と思えるところを選んでください。

通信制

主に自宅や学校が設けている場所で勉強をしながら卒業資格取得を目指すのが通信制です。ご存知の方は多いと思います。ですが勘違いされやすいこともありますので、少し紹介したいと思います。

意外と登校日が多い/人付き合いも必要

一般的な学校と違い毎日学校に行く必要はありませんが、登校日は設けられています。主に添削指導スクーリング試験の3つです。

添削指導とは、日々勉強して提出している課題について教員から添削を受けることです。一人の勉強では「なぜ間違えたのか?」「正解したけど理由がわからない」ことは頻繁にあります。課題をしっかりと理解させるために設けられている時間です。

スクーリングとは教員と面接しながら勉強を教わる時間です。在籍している多くの生徒と一緒に教わるので、一般的な学校と同じ雰囲気で勉強をします。人数によってはクラス分けしており、個別指導を行ってくれる場合もあります。特に体育の授業などは教員と一緒にしなければ危険を伴うことも多いですから、スクーリングで指導しています。

最後に試験。当然ですが公正を期すため教員監督のもと実施されます。

単位を全て取得すれば卒業/留年はない

全日制・定時制の学校と違い単位制を採用しています。大学や自動車学校をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。提出課題の合否、前記にある添削指導・スクーリングの回数、試験の合否によって単位を取得します。単位取得が卒業要件を満たすと卒業できます。

単位取得できなかったとしても留年することはありません。自分のペースで学習を進めることできます。

通信制での注意点

ここでは私の経験と見聞をもとに通信制高校の注意点やコツみたいなことをお教えします。

一人で勉強をするというのは難しいことです。頑張るのも怠けるのも当事者次第。時間的な問題で添削指導・スクーリングだけでは理解するのに十分とは言えず、勉強の仕方も一人で見出すことは容易ではありません。

経済的余裕があり、大学・専門学校への進学を考えているのでしたら、サポート校や家庭教師などを利用した方が良いでしょう。二人三脚で挑むことが進学をスムーズに運ぶコツです。

通信制を「学校に行かなくて済む」と思って選ぶと辛いことになります。教員の先生と接する時間はありますし、スクーリングは学校のクラスでの授業と変わらない感じです。ある程度の人付き合いは避けられません。

あくまで「登校する機会が少ない学校」と思う方が良いでしょう。

最後に遺憾ながら悪質な通信制学校も存在します。例えば保護者の方にとって子どもが卒業資格を得られるかは重大な関心事です。十分な学習機会も与えられていないのに多額の学費を請求されることもあります。単位をお金で買うようなことにならないよう注意が必要です。

適応指導教室

不登校をしている小・中学校の生徒を対象に、学校復帰を目指して学習支援を行っている教室のことです。各地の教育委員会が中心となって運営しており、退職された教員、カウンセラー、精神科医などの方が多く関わっています。

適応指導教室の特徴としては教室への参加が学校の出席扱いになる場合が多いことです。学習への支援、カウンセリングと併せて復学しやすい環境が整っています。

 

ただ注意してほしいことが3つあります。「復学」を目的としている点、義務教育でフォローできる範囲しか対象としていない点、保護者の方が過度な期待をしやすい点です。

保護者の方が不登校である子どもに復学してほしいと期待をかけるのは自然なことです。適応指導教室も復学に尽力してくれます。しかしその当人が復学への抵抗感が拭えない場合、教室自体が安心できる場でなくなる可能性があることです。

教室の方も当人に対して柔軟に接してくれますが、親の期待というものは簡単に消えるものではありません。また中学生までという期限も焦りを助長します。期待と焦りは親の人情というものです。致し方ないことですが当人の意向はどうでしょうか?

一番重要なのは不登校をしている子どもが安心して過ごせる環境を整えることです。保護者が復学にこだわるばかり、子どもに無理をさせていないかどうか注意が必要です。

家庭教師・個人塾

フリースクール、サポート校、通信制、適応指導教室の全てが人付き合いを必要とします。信頼できる人以外とはなるべく会いたくない、でも勉強はしたい。そういう場合、訪問や個別指導による学習支援、つまり家庭教師や個人塾は良い方法です。

単に学校の勉強を教わるだけでなく、絵画・PCなど専門的な技能を学ぶ場合なども家庭教師は適していると思います。

ただ謝金は相応にかかります。それ以上に重要なのは信頼関係です。支援を受ける当人、保護者、講師の三者間の信頼関係はとても重要です。

当人と講師の関係が悪くなれば言うまでもありません。保護者と講師の関係が悪くなれば信頼して自身の子どもを預けることはできません。特に家庭教師・個人塾の場合、個人間の関係になるので団体との関係性より拗れると厄介なところがあります。

家庭教師・個人塾の講師はハッキリ言ってピンキリです。教える能力だけでなく、不登校ひきこもりに理解のある講師ともなれば尚更探すのは難しいです。ここでも家族会で情報収集するのが良いでしょう。信頼できる支援者の方から紹介を受けるのも悪くありません。

 

以上が主な学習支援です。大抵の場合、支援に謝金は付き物です。フリースペース・家族会にて学習支援ボランティアを実施している場合があります。こちらは最低限の出費で済むことが多いですが、ボランティア程度であることは認識しておく必要があります。

当事者の方、家族の方問わず、自分の家庭の経済的状態に応じて支援を選ぶことをお勧めします。

 

また学習支援は色々な形があります。当事者に何が適しているかは「当事者の気持ち」「支援先との相性」など、運次第としか正直言えないことが多いです。一つに拘らず、色々試してみることをお勧めします。まずは見学からです。