不登校ひきこもり支援選びの1つの目安です。『不登校ひきこもり情報たーみなるinながさき』掲載の団体だけでなく、掲載されていない団体を探す時にも役立ってもらえれば幸いです。

『不登校ひきこもり情報たーみなるinながさき』では支援団体をジャンル分けしています。

  • 当事者グループ
  • 家族会
  • 相談窓口
  • 就労支援
  • 学習支援
  • その他

不登校ひきこもり支援選びでお悩みの家族の方。不登校ひきこもりの当人の様子と自分の状態を照らし合わせながら、該当するものを探してみてください。

1:家族が不登校ひきこもりになって6カ月/とても困惑している

まずは相談窓口に連絡してみてはください。6カ月を経過すると「ひきこもり」と定義されます。ひきこもり初期は心を落ち着けることが大事です。当人は絶望感が強い状態ですし、何より家族が「何でこうなったのか!?」と混乱していることがほとんどです。友人・親戚などには話し難いことですから、良い意味で赤の他人である相談員に心に溜まったものを話しましょう。まずは心の余裕を取り戻しましょう。

2:家族が不登校ひきこもりになって6カ月~1年/将来が不安で仕方ない

少し心が落ち着いてくると家族の将来が不安で仕方ない気持ちが強くなります。「早く社会復帰させないと!」と焦ることが多々あります。当人の状態次第ですが大抵の場合、焦って学習・就労支援を勧めても望んだ返答はありません。また家族の焦りが当人に心理的圧力になって悪い方向に進むことが多いです。

自分の家族が今どんな現状にあるのか把握するのが先決です。そのためには相談窓口に相談すること、そして家族会に参加することをお勧めします。
特に家族会には似たような境遇の方が多く参加しています。他の家族の話を聞くことで、客観的に自分の家族の現状を見ることができ、また自分の家族の話を他の人に聞いてもらうことで心の負担が軽くなります。参加者がお互いに共感し合うことで得られることは多いです。これは相談窓口に相談するだけでは得られないことだと思います。

3:状態が落ち着いてきたみたい/会話がない/話す接点がない

不登校ひきこもり当人との会話がない場合、世間話ができるぐらいまでを目標にしましょう。手紙やメール、何でもかまいません。まずは接点を作ることが大事です。方法に見当が付かなければ、相談窓口からアドバイスを貰う、家族会でヒントを探すことをお勧めします。

ただ家族では関係が近すぎて、むしろ関係がこじれ上手くいかないことがあります。そんな時は相談窓口の面談や訪問をお願いするのも良い手です。第3者が仲介することで関係が改善する可能性は高いです。もちろん嫌がる当人もいるでしょうが、相談員と相談しながら機会を見て再度アプローチをかけるのも悪くないでしょう。

4:状態が落ち着いてきたみたい/日常会話あり/接し方がわからない

不登校ひきこもり当人との間に会話がある場合、徐々に当人と話す機会を設けて話しを聞きましょう。世間話から深刻な話まで、当人の話に耳を傾け聞くことに徹した方が良いです。
ただ一見落ち着いてきたかのように見える場合でも、ちょっとしたことで一気に心が荒れてしまうのはよくあることです。接し方が分からない場合は相談窓口からアドバイスを貰う、家族会でヒントを探すことをお勧めします。

心理的な分析や助言がほしい場合は相談窓口、日常の接し方の知恵やヒントを探す場合は家族会が良いと思います。自分の考え方だけでは偏ってしまい失敗することが多いですから、他の人の話を聞くことがより良い方法を見つけるコツです。

5:当人が何やら焦っている/自分を卑下しているように見える

ひきこもり状態が落ち着くと考える余裕が生まれます。すると不登校ひきこもりの当人は将来を考えるようになり「今何かしないと人生が終わる」という焦りの言動が現れます。加えて「自分は何もできない」という自信のなさも見受けられるようになります。この時期は「死にたい」「消えたい」と思うことが多いです。
突然の復学、バイト探しなど新しいことを始めようとしますが、これは追い詰められての行動です。長続きしないことが多く、結果「自分はダメだ」と気力を失うことがあります。
家族としては過剰な期待をせず、挫折しても受け止める気持ちを持つことが重要です。しっかりと受け止めれば気力は回復し、焦りからの挑戦と挫折を上手く乗り越えていくと徐々に焦りは消えていきます。

当人の「何かしたい」気持ちはとても大切です。当人の意思をできるだけ尊重してください。ただ余りにも突拍子なく無理な行動に対しては再考を促しても良いでしょう。決断は当人がするべきですが、相談相手を紹介するぐらいは大丈夫です。相談窓口の相談員、家族会の世話人も良い相手です。
ただ無理な行動を否定するのではなく、話し合いを経て妥協点を見出し、無理のない形で挑戦をすることをお勧めします。例えば、クラスに入るのは難しいのでまず保健室登校。長期バイトは厳しいので日雇いや短期バイトから始めるなどです。

6:当人が現状に物足りなさを感じている気がする

前記のような過剰に焦っている時期を過ぎるとある程度落ち着いてきます。すると家族だけの人間関係やひきこもっている現状に物足りず「このままでいいのかな?」といった気持ちを抱いている感じ、家族以外の誰かに自分の気持ちを話し共感を求めているような感じが見受けられるようになります。当事者グループや相談窓口の面談を紹介する時期です。

当事者グループでは参加者と世話人がレクリエーションを通じてコミュニケーションを取りつつ、ちょっとした役割を与えることで失った自信を回復していくことが多いです。不登校ひきこもり当人同士が話し合い共感するための居場所として提供されてもいます。互いに似たような境遇を過ごしていることが多いので、打ち解けることができれば友人関係を作りやすいと言えます。
一人を好む、馴れ合いを嫌う当事者もいます。そういった場合は相談窓口の相談員にかかるのがお勧めです。信頼できる相手に世間話から深刻な話まで話すことによって心の整理が可能になり、心穏やかになっていきます。

ここで注意してほしいのは「物足りない」という分かり難い感覚を誤認しやすいことです。特に家族が焦りから期待してしまう場合です。当事者グループに参加する、相談に行くといった行為は分かりやすい改善の傾向です。家族の方が安心を欲しがってしまい先走ってしまう。その心は痛いほど分かりますが、ここは慎重に判断しましょう。

7:当人が就学を望んでいる

ひきこもり状態が改善されてくると次のステップを望むことは当然です。当人が「学校に行きたい」「勉強をやり直したい」と思っている場合、一緒に方法を考えましょう。
とはいえ不登校を長く経ている場合、どうしても学力が落ち込んでしまいます。例えば大学・専門学校に行きたいから、いきなり高卒認定試験を受けても結果には限界があります。まずは自分のペースにあったスタイルというものを見つけるべきです。ここで学習支援が必要になります。

学習支援の1つにフリースクールというものがあります。学校に行けない人たちが参加しており、色んな体験ができる場です。勉強も当人のペースで教えてくれます。「ちょっと頑張って学校に戻りたい」という気持ちがある場合、適応指導教室というものもあります。
個別指導が良いなら塾や家庭教師も悪い選択肢ではありません。ただ不登校ひきこもりに理解のある塾・家庭教師を見つけるのは難しいのも事実です。そこで家族会で相談することをお勧めします。家族会の参加者の中には理解ある先生を知っている人がいることがあります。
通信制の学校、サポート校も選択肢として悪くありません。ただ当人と学校の相性というものは確かにあります。当人が望んだ勉強であるかどうかも重要です。学校行ったからと安心という訳ではありません。

学習支援の多くは相応に金銭が必要となります。家庭の経済的事情や懐具合と相談しながら、当人の意思を最大限に尊重してください。どの学習支援を受けるかは当人の判断が最も重要です。

不登校ひきこもりの当人から「学校に行きたい」なんて言われると、家族として期待が膨らむのは当然の気持ちです。しかし冷静に考えてください。当人の就学の意思に間違いはないのですが、同時に無理をしているものです。「ちょっと良い恰好したい」気持ちもあります。学習支援を受けたとしても当人の様子には十分注意してください。

8:当人は就労を望んでいるものの自信がない様子/就労の経験がない

一度も就職したことがない不登校ひきこもり当事者は珍しくありません。就労経験がない、もしくは短期バイトしかない場合、仕事で必要とされる技能を習得していないことは多いです。例えば、PCの操作方法、履歴書の書き方、挨拶の仕方など。まずは就労支援を受けることをお勧めします。
就労支援では初歩から教えてくれます。そういったところで勉強しつつ、人に慣れる。就労体験を設けている場合もありますから、不登校ひきこもりの当人に適した職を見つけることができるかもしれません。
当人と家族とで一緒に就労支援を探してみることが良いと思います。

また日雇いや短期バイト、負担の少ないバイトも仕事に慣れる良い方法だと思います。長期の仕事はどうしても厳しいものが多いです。期限が決まっているバイトなら「何とか乗り切れば」と気力を振り絞ることができます。仮に辞めてしまっても仕事先への迷惑は比較的少ないケースが多いです。労働時間が少なく、肉体的に負担の少ないバイトなら長続きする場合もあります。
ただ頻繁にバイトを紹介しても鬱陶しいだけです。家族が当人に許可を取らずバイトの段取りを整えるのはプレッシャーにしかなりません。
バイトの情報を当人の目の届く場所に置くなどしてください。当人の気分が向けば自身でバイトの段取りを整えるでしょう。バイトの紹介は「絶対に合う」と確信が持てる場合のみ行ってください。

9:就職活動中/すでに就学・就職をしている

ここまでになると家族の手助けできることは限られ、後は当人次第というところです。ただそれでも心掛けることはあります。
当人の心身の不調に注意してください。就職活動や学校の勉強、仕事にストレスは付き物です。全てが順調に進む訳ではありません。愚痴はなるべく聞いてあげてください。
もし当人が「辞めたい」と言ったのなら、辛い気持ちを受け止めてあげてください。辞めるか辞めないかは当人が決めることですので、慰留はしないでおきましょう。そして当人の判断を尊重してください。
無理をして心身を壊すよりは一歩後退して休養を取り、また再び歩み出せるよう環境を整える方が重要です。ある唄の歌詞の通り「3歩進んで2歩下がる」ことを心に留め置いてください。

10:特別な事情がある場合

不登校ひきこもりにはさまざまな要因があります。その中でも特別な事情を理由に不登校ひきこもりになってしまうこと。反対に不登校ひきこもりになってしまったがために特別な事情を抱えてしまったことがあります。ここではその特別な事情の場合どうしたらよいのか簡単に説明します。

うつ病・統合失調症・依存症などの精神疾患になってしまった場合

不登校ひきこもりは大なり小なり精神的にストレスを受けています。実際にうつ症状は顕著に現れます。これが過度に深刻になると精神疾患を発症することは珍しくありません。

こうなってしまっては当人の自力での回復は難しいです。素直に病院へ行きましょう。ただ病院となると当人が嫌がることは多いです。家族一人だけの努力では状況の打開は難しいので、まずは相談窓口の相談員(臨床心理士など心理系の資格を持っている方がお勧め)と当人が行きやすい方法を検討しましょう。

また残念ながらお医者さんにも良し悪しがあります。「良いお医者さん」に巡り合う可能性を高くするためには情報の収集が必要です。そこで家族会で訊ねてみましょう。一番信用できる情報は利用者の声です。家族会の参加者の中には精神科へ通院している当事者の家族も多くいます。ぜひ試してみてください。

発達障がい・学習障がいなどが疑われる場合

特に不登校の場合、障がいに由来する特徴によっていじめの対象になってしまうことは頻繁にあります。そうでなくとも学校に馴染難いことは多々あります。障がいはあくまでその人の「特徴」でしかありません。しかし残念ながら理解のない人が多いのも事実です。

まずは当人の「特徴」を把握するために診断を受ける必要があります。当人が「自分には障がいがあるんだ」と認めるのはとても心理的に抵抗があることです。また家族が「あなたは障がいがあるみたいだ」と言うことは当人にとって否定の言葉を信頼している家族から投げかけられる訳ですから、心を傷つける可能性がとても高いです。可能な限り避けてください。

必ず第3者の専門家・相談員(保健士など福祉系の資格を持っている方)から診断を下してもらい、家族は当人の味方である立場を崩さないでください。そして当人が「特徴」を受け入れる手助けをすることが大切です。その後、診断に応じて適した支援を受ければ良いでしょう。

また家族も当人の「特徴」を理解できず戸惑ってしまうことはよくあります。どう接したらよいのか分からないことも多いでしょう。そこで相談窓口で相談に乗ってもらうだけでなく、障がい者家族の家族会に参加することをお勧めします。きっと戸惑いの気持ちや悩みを共感してくれるでしょう。
共感してくれると心の余裕が生まれ、当人の「特徴」に向き合うことができます。一人で悩まず相談し、自分の心を軽くするよう心掛けましょう。

生活に困窮している場合

不登校ひきこもりの前提として、家族など生活を支えることができる存在がいることが挙げられます。しかし支えることができない場合はそれどころではありません。生活の立て直しに全力を挙げる必要があります。

家族だけの力ではもう限界ですので、まずは相談窓口へ行きましょう。特に貧困対策に詳しい団体(保健所・社会福祉協議会など)に相談してください。生活保護など様々な手段を教えてくれますし、一緒に手続きの手伝いもしてくれます。不登校ひきこもりの問題は、その後に取り組んでも遅くはありません。

当人が暴力を振るってくる場合

残念ながらストレスから家庭内暴力をしてしまう当事者は多くいます。受けた家族は「自分が悪いんだ」「身内の恥はさらせない」と思って他の人に話さないことが多いです。暴力を振るう側は感情のコントロールができなくなって歯止めが利かないことが大半です。

これは家族の力だけで解決しない問題です。勇気をもって相談窓口に相談してください。適切な距離の取り方など詳しく教えてくれます。専門知識を持った第3者が仲介しないと解決しない問題ですから「いずれ止めてくれる」という期待は捨ててください。

以上、支援選びのコツです。お役に立ちましたか?
あくまで私個人の意見ですから“絶対の答え”ではありません。あくまで目安と考えてください。